後楽園ホール、その余熱

今回の3連休はなかなか充実していたので記しておきたい。

8(土)。11時からSPIRITで髪を切ってもらい、一旦家にもどってから桃子とランチに出かける。
当初代官山駅前のSignでオムライスを食べようかと思っていたが、年末にF君がAFRICAについて話していたのを思い出し、一転AFRICAに向かうことにした。以前ケンちゃんとランチしようとした際には披露宴につき貸切とのことだったが、この日は問題なかった。
ランチはコースと単品と揃っていて、どちらもたいへん美味しかった。僕はかぼちゃのスープとオムライスという子ども感全開!なメニューを頼んだが、どちらも食べやすいながらも工夫があってオトナが楽しめるようになっていた。桃子はパスタのコースだったが、前菜からパスタまで高水準で楽しめた。若干店員が若くてサービス感は一流店としては不安が残ったが許容範囲。二つほど離れた席にロンゲ(汚い)&自意識過剰(首を斜めにかしげてしゃべる)&ちょこっとデブという最悪な男がいて、コーヒーをまずくさせた。奥にソファ席があって、なかなか居心地が良さそうだったのでいずれ利用したい。

AFRICAを出た後、そのまま渋谷に行くことにした。目的はチケットぴあ。今夜行われるボクシングの興業のチケットがないかどうか、また昼間の内にMr.インクレディブルを観ようと思っていたため、同じくチケットがないか探しに行ったわけだ。
※このあたり、僕はどうもチケットのシステムがよくわかっていないため、自分でもかなり素っ頓狂な行動だと思う。

さて、109でバーゲンに来ていた僕らより10歳は若い女の子達とぎゅうぎゅう押し合いへし合いした後、チケットぴあにてボクシングのチケットなどを探す。雑誌の「ぴあ」が置いてあったため、興業先に電話してみたところ、リングサイドはあるけど、他の指定券は在庫僅少とのこと。
「今日は朝から問い合わせが多くてねえ」
というオッサンの言葉に、どうしようか迷っていたところ、桃子が
「とにかく行ってみようよ」
と言ってくれたので、「案ずるより生むが易し」と、一路後楽園ホールに向かった。
とかく多人数で行動するときは、行動に合理性や「近道」を求めるがゆえに計画が無いと行動しづらくなるものだが、こういう「とにかく行ってみよう」という発言は自由を感じさせてくれてうれしい。

その日のボクシング「ダイナマイトグローブ」のメインイベントは、日本フェザー級のタイトルマッチで、チャンピオン・挑戦者ともに全勝、ことに挑戦者の金井は14勝14KOというすさまじいファンタジスタで、今年最初の大一番、まさにプレミアムカードだった。

到着してみると、後楽園ホールの当日券売り場に30人程度の行列ができており、そこに並んだらほどなくチケットが買えた。といっても、やはりリングサイドか自由席しか無く、相談した結果、自由席でまた押し合いへし合いするのはつらいということで、高かったがリングサイドのチケットを入手。

ここで一旦時間が空いたのですぐそばのゲームセンターに移動。ふと目についた「オンラインクイズ」というものをやってみることにした。
ところがこれ、まず200円でIDカードを取得せねばならないなど、ややシステムが複雑でちょっとウンザリ。やめようかなとも思ったが、時間はあると思い直した。

ウォーミングアップをしてから、いざ予選トーナメント。オンラインで全国とつながっているので、「札幌マイマイさん」とか「八王子ぬめっち」などなど16人のプレーヤーが揃って一斉にクイズに答えていく。正解率が下位の4名が脱落していくというルールだった。
一回目のチャレンジでは、3回戦まで行ったところで単純ミスを連発してビリから4位になってしまい敗退。焦りと引っ掛けにやられたわけだ。
続いて2回目のチャレンジ。予選一回戦でまあまあの正解率だと思っていたが、結果1位。画面に大々的に
「東京ドーム つねゆき」と表示されている。こんなに大々的に全国に知らしめられるんだったら、いきなり本名を登録するんじゃなかった…と自分の間抜けさを呪った。
結局、予選3回から本線まで、ひたすら一位をキープ、優勝することができた。うーん、爽快爽快。



後楽園ホールに入ると、いきなり輪島功一が樽酒を紙コップに注いでは客に振舞っていた。
「写真撮ってもいいですか?」
と尋ねると「一緒に一緒に」と言うので、桃子を横に並ばせて写真を撮った。
非常にはっきりとした良い写真が撮れた。

南側の完全に中央、前から6列目くらいという絶好の席に座ると、ほどなくして辰吉丈一郎ファミリーが僕らの前方のリングサイドに座った。
丁度4回戦の一試合目をやっていた。
ボクシングはとくにデビュー戦で才能の片鱗みたいなものに出会うことがあるが、2試合目がまさにそれだった。双方ともデビュー戦。小柄なムキムキ型のファイターvs30歳でデビューする果敢なアウトボクサー という組み合わせだったが、小柄な方が終始圧倒し、結局1RでKOで勝ちを収めた。決してアウトボクサーがテクニック不足だったわけではないが、とにかく小柄な方のパンチが強い。プレッシャーを与える力が物凄く強くて、当て勘もある。ガードしていてもこじあけてしまうので、アウトボクサーにしてみればペースが全くつかめないままひたすら重いパンチに耐え続けるしかなかった。
この彼、名前を「備前大輔」というので要チェック。秋田出身のようだ。キックの大月晴明ロイ・ジョーンズと同じタイプで、非常に成長が期待できると思う。その後、6回戦〜8回戦は判定の試合が続き、特別書くことはない。どれも好試合ではあったが。

そしてファイナル。両選手に多くのファンが大声援を送り、場内はこの上なく盛り上がる。ボクシングやキックボクシングでファンになる、という気持ちは一言では説明できないが、とにかくこの声援を聞くだけで、この二人が多くのファンを魅了し、多くのファンの心にファンタジーを刻んできたファンタジスタだということがわかる。
グラップラー刃牙のセリフを引用するなら、「男は誰もが最強を目指していた。(略)しかし成長するにしたがって最強をあきらめていく」。あきらめてしまった「強さ」の具現、これをボクサーやキックボクサーに求めるのだ。そしてその期待に応えてくれたボクサーに自らを投影し、愛していく。これが格闘技のファンだ。こういう二人の戦いは熱いよね。1月4日のキック:大月vs小林聡がまさにそうだったけど。

試合の内容は多くのスポーツライターが書いているのでそちらを見れば良いと思うが、両者ともパンチの当て勘がすごくて、しかりガードしたり上体を動かしてもパンチは当たる。とくに金井の方は、ジャブの手数が少なかったので全体のヒット数は少ないが、幾度か素晴らしい右ストレートを放っていた。榎が上体を(はじめの一歩のデンプシーロールのように)回転させたのに、右一閃で動きを止めた。
終始、チャンピオンの榎は速いジャブで金井を打ち続けた。どうも金井はジャブに対する警戒が薄くて、終始もらってしまい、それが仇となって圧倒的なダメージ差になってしまった。そもそも榎は基本に忠実で、且つフィニッシュブローもあるわけだから、右の一発の「冴え」に頼った金井の戦法とは相当差があったと思う。だからといって分からないのがボクシングだけどね。

というわけでダイナミックグローブはたいへん楽しめた。席も最高だったので、1万円は充分にもとを取った。
帰り、鳥元で遅い夕飯をとってから帰宅。
TSUTAYAで「妄想代理人」をどさっと借りてきて観る。



2日目。
遅いメシを食べてから昼過ぎに自転車にてジムに向かう。ロビーで桃子と別れてそれぞれ着替え、まずは普通にマシントレーニング。バイクを10分こいでウォーミングアップをすると、体全体がうっすら汗をかいていい感じ。その後、背筋・腹筋・腹側筋を中心にやる。ここで充分疲労して、体に乳酸がたまった感じ。
続いて水着に着替え、プールに移動。初プールだったけど、やっぱり25mプールは良い…。
※以前通っていた代々木上原のスポーツプレックスはなんと15mだったのだ。
この日は初日だったのと、マシントレーニングで疲れてしまったのとで結局700mほど泳いで切り上げた。距離は徐々に伸ばしていけばいいと思うが、最終的には毎回1kmノンストップで泳げるようになりたいと思う。これで相当運動量がかせげるだろう。

今日はブランチで量も少なかったし、運動して疲れていたので早めに夕食を採ることにした。むろん、焼肉。亜細亜食堂にて6時過ぎから食べ始め、8時前に食事終了。

TSUTAYAで「妄想代理人」の続きを借りて最後まで観る。「パーフェクトブルー」「東京ゴッドファーザーズ」の今 敏(コン サトシ)のWOWOW用シリーズだったが、なかなか面白かった。謎かけが作品の大部分を占めていて、虚構が虚構を呼び何がリアルなのだかわからなくなってくる感覚は、舞城王太郎の「九十九十九」というメタメタメタメタメタフィクションみたいな本を思い出させた。最後はEVA的カタストロフィが来るかと思いきや、明るいエンディングというところが心意気を感じさせた。

3日目。
この日は来るべき引越しに備えて朝からドタバタと片付け。もう梱包してしまってよいものから順に、幾つかのダンボールを作った。引越しが楽しみ。