大阪旅日記、極真全国大会

空手家の小島英二(通称ドン)がついに極真の全国大会に出場することになったので、観戦・応援のため大阪に行くことになっていた。
金曜夜、仕事を終わらせて品川から新幹線に飛び乗り、そのまま大阪・なんばへ。仕事を終わねらせてそのまま新幹線なんていいよねぇ〜というところで、かなりハッスル。多少仕事が気がかりだったものの、弁当とビールを買い込んで乗車。8:01発なり。
のぞみは速すぎて22:30には新大阪。そこから地下鉄御堂筋線でなんばへ。見るもの全てが大阪っぽい感じがして興奮。社内アナウンスで次の駅に止まるときに、店の広告が入る(東京でもバスはそうだ)のがさすが大阪。

■なんば到着
なんばに到着し、御堂筋ホテルという何にもない(but温泉)ホテルに泊まる。ドンはすでに到着していたが、翌日が試合だったので、24:00くらいまで喋っただけで大人しく寝る。

■試合
翌日、大会当日。ドンの一回戦の相手は、背がドンよりちょっと低い、熱血系ファイター(but若ハゲ)。ドンは、ハイキックをちらつかせながらややアウトボクシング風の間合い、なかなかスマートな戦い方をしていた。熱血ハゲは距離をつめてきたが、なんとかイナして、ロー・ミドル・ハイキックをあてていく。うんいい感じと思っていたのだが、判定が割れたというかむしろ劣勢。主審が引き分けを宣言したのでなんとか延長戦に。延長戦では、やや焦ったこともあり普段とは違うスタイルでアグレッシブに攻めて心象をアップ。これは5対0で勝ち、一回戦を突破した。
続く2回戦だが、これは相手が悪くて、昨年のベスト8、今年はもっと力をつけてきているという厄介な相手。相手を前にして不敵に首をコキコキやるなど、極真としては珍しいくらい憎らしいヤツだ。
試合が開始すると、開始早々にミドルをもらったらしく(俺はよく見ていなかった)、痛みに顔をゆがめるドン。以降、一方的にイヤイヤペースになってしまい、結局2分間をいいとこなしで終える(苦笑)。無論、判定は5対0、ドンは2回戦で敗退した。
ま、最後に殺戮ショーで敗退したとはいえ、20代最後の歳に全国大会に出られて、一回勝ち進んだというだけで充分に思い出に残った。ドンとしてはもうちょっと善戦できるかと思ったそうだが、一緒に観戦したマルーも「力の差がありすぎた(笑)」。また、残念なことにドンを破った相手は、次の試合で「注意」を連発され、間合いがとれずに余裕をかましている間に、馬ヅラの熱血漢に延長戦判定で敗れた。これは軽い番狂わせだったと思う。

■大阪といえば
夕方、一旦ホテルにもどって少し眠った(後から聞くと、ドンもマルーカップルもそうだったようだ)あと、難波は歌舞伎座前に集合。ドンも翌日の試合がなくなったので、思い切り羽を伸ばせるというわけだ。
まず、ミナミの中心部をお約束どおり通過、食いだおれ人形の前で「でもここってすごくマズイので絶対に入るなって評判だよねえ」とか言いながら記念撮影。一日あたり2000人くらいの観光客が「ここが阪神が優勝する飛び込む道頓堀だ!」と騒ぐ。
大阪といえばお好み焼きということで、「ぼてじゅう総本家」に行ってみる。ねぎ焼き・とん平焼き・もちチーズ・モダンと食べるがたいしたことなかった。後からネットで調べるだに、もっと旨そうな店がいっぱいあった。ちょっと残念。
しかし、そこでメゲる我々ではなく、続いて大阪といえばたこ焼きというところで、赤鬼と大たこを食べ比べ。赤鬼はかつおだしの汁で食べるのもあった。食べ比べ結果としては、4人とも大たこ派だったようだ。

■なんばのニューハーフ
さて、腹も膨れてきたしいよいよ遊ぶか!というところだが、マルーの彼女もいるのであんまりハードコアなのは…。と困っていたところ、マルーが「ミナミに詳しい知り合いがいる」と電話をかけはじめる。さすが、なんばの姉妹都市・歌舞伎町の男。勝手に「ミナミの帝王」と名づけたその知り合いのお勧めにしたがって、「ベティのマヨネーズ」というオカマ(ニューハーフだなや)ショーパブに行くことに。「ショーパブ、ちょうどいいねえ」と皆ハッスル。予約を入れたところ、1時間ほど待つことになったので、近くのカフェで一杯飲みながら待つ。
時間が来たのでショーパブ「ベティのマヨネーズ」に到着すると、前の回の客達が満面の笑みでぞろぞろ出てくる。余程面白かったのだろうと店に入ると、ハッとするほどの美しい女が白いドレスを着て立っていて、まさかと思ったらやっぱりニューハーフ。つまりここは、ちゃんと美しいニューハーフの店なわけだな。
席につくとアンニュイな表情のホステス(♂)がやってきて大阪らしいトークを行う。
次にやってきた、水野真紀ふうのカワイコちゃん(♂)がキレイな肩を見せながらやってきて、ドスの聞いた声で男らしいトークを繰り広げはじめる。
「名前なんていうの?」と僕が尋ねると、
「あ?大林」
「苗字かよ!建設会社じゃねえんだから。」
「建設会社?フツーオヤヂどもは『大林素子』って言うんだけどあんた変わってるね」
「下の名前はなんていうの?」
「ミチノリ」
思い切り男名じゃねえかよ!!
源氏名みたいのはないの?」
「あー、ユキノ。素人っぽく言うと『ゆきのでーっす♪』って感じかな」
この大林、「男ってほんとにイヤよね。臭くってさ。とくに加齢臭っての?」
とものすごくネガティブトークをはじめる。
「こないだもさ、朝目が覚めたらなんか加齢臭がするから、あらやだ、オヤヂを連れ込んじゃったのかしらと思ったら、自分の加齢臭だった」
とハードコアなギャグを連発。楽しませてくれた。
その後、お約束のチビデブオカマキャラを含む全員で素晴らしいセクシーショーが始まり、やんややんやの大騒ぎ。一番最初のアンニュイちゃんは(背が高いこともあって)ステージ映えがすごくよくて驚いた。
これだけ楽しんで一人5〜6000円程度、大阪はスゴイところだ。
この日は、マルーたちカップルと別れて4時くらいまでドンと飲んで寝た。

■西成を散歩

同僚の大田原氏が「環状線の下のあたりが本当の大阪」とつぶやいていたので、帰る前に西成エリアを散歩してみようと思い立ち、二日酔いにも関わらず、西成「天下茶屋」に行ってみる。

※後から調べたら、僕が本当に見たかった地域は天下茶屋より萩之茶屋、北東に進んだあいりん地区だったのだが、今回は少しポイントを外してしまった。

天下茶屋から東に伸びる商店街。不穏な感じはない。ところが、アーケードを超えて、市電と思しき線路を渡ると、急に商店街が狭くなり、街並みが完全に昭和40年代に!。建築基準はどうなっているんだ?というような建物の狭小さ、密集ぶりに驚く。店の脇についていた狭い階段にジジイが座ってこちらを凝視していたりしてちょっと驚いた。かなりの亜空間ぶりに興奮。じゃりん子チエの世界そのまんまですな。その内、うっそうとした林がある小山が見えてきたので足を向けてみる。山の一角が公園になっていて、ブルーテントが密集していた。のどかにホームレス達が生活していて、あんまり暴動の匂いなんかはない。後で調べたら、これは聖天山というところらしい。

ぐるっと住宅街を回りながら天下茶屋の駅まで戻り、今度は逆に西側に足を向ける。電車の線路沿いに西北に歩いたところ、線路際の道路に放置された自動車が2,3台あって、「立ち入り禁止」と書かれたガムテープでぐるぐる巻きにされていた。タイヤとホイールが取り外されていて、殆ど原型をとどめていず、またそのあたりは犬の糞やゴミだらけでかなり汚い。

その後、長屋やフランスのアパルトマン(方式のとても汚い建物)などを見ながら鶴見橋商店街にたどりつく(途中で長屋の前に座った少し発達障害があるであろうおばさんと二人っきりになってしまい緊張した)。この商店街も時代錯誤甚だしく昭和の匂いをプンプンさせていて楽しかった。商店街から路地に入ると途端に平屋の長屋、道端に洗濯物がたなびき、ところどころにある「公園」は「どうやって暮らしてるんだろう?」と思わず疑ってしまうジジイババアの寄り合いとなっている。子供の頃、このジジイたちと遊んで育ったら絶対にまっとうな人生の道を歩こうと思わないだろうなという感じ。

そんなこんなで地下鉄「花園町」の近くに出た。2時間も歩き続けたために足が棒のようだった。地下鉄で新大阪に向かい、一路東京に帰ってきた。
しかし、実は本当に行きたかったあいりん地区は、花園町よりちょっとだけ北東、萩之茶屋駅の先だったのだ。2時間も歩き続けた挙句、目的のちょっと手前であきらめてしまった。残念。次回、大阪に行くことがあったらば是非ともあいりん地区をこの目で見たい。